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近年、日本国内に空き家が増えていることが社会問題とされつつあります。 1年以上誰も住んでいない家を「空き家」といい、2023年時点の統計では総住戸の14%程度にあたる約900万戸の空き家があるそうです。 空き家のうち、51%は賃貸用に空けているものですが、売却待ちや別荘は合わせて8%程度で、残る41%は「ただ、誰もいない、何も使われていない家」です。 所有者が病院や施設に入院してしまっての長期不在や、さらに相続人が遠隔地に生活基盤があり移住できない、などの理由が上げられます。
「建物があるだけなら、別に誰にも迷惑かからないじゃん」と思われがちですが、そうでもありません。 例えば、戸建てであれば空き巣に狙われたり浮浪者が住み着いたりする可能性があるだけでなく、建築材の腐敗による悪臭、台風等での倒壊なども考えられます。 マンションであっても、設備の老朽化で水回りや電気設備が腐食すると、漏水や火災の原因にもなります。 これらにより近隣の住民・住戸に被害を与えた際は、住んでいなくても所有者に管理責任が問われ損害賠償問題になるのは不可避です。
こういった防災や防犯の観点から、2015年に「空家等対策特別措置法」(通称:空き家対策法)が制定され、国が所有者の適正な管理を調査し、助言や是正勧告、最終的には強制執行までできるようになりました。
つまり、メンテナンスされていない物件ですね。 「特定空き家」に指定されると、自治体の立入調査や、指導・勧告を受けることになります。 これに対して対応を怠ると、撤去命令を経て最終的には強制代執行処分……つまり、自治体により建物の解体処分が行われることになります。
「なんだ、行政や自治体が解体してくれるなら、それが一番手っ取り早いじゃん」
そんなわけありません。解体工事は自治体が委託する業者が行いますが、その費用は所有者に請求されます。
この費用。一般的にはむしろ個人が探して依頼する費用の方が安いといわれています。
「自治体が勝手に契約した解体工事の(割高な)費用を個人が負担するのはおかしくないか? 払わないよ!」と支払いを拒否していると、 「滞納」扱いとなり、預金等の財産差し押さえにまでなりかねません。
そう、どこまでいってもいいことにはならない……それが、空き家です。
不動産を所有していると、土地の評価額(課税標準額)に比例した固定資産税・都市計画税という二種類の税金が発生します。 但し、事業用の不動産ではなく住宅用の不動産であれば、「住宅用地の特例措置」として課税標準額が1/6~1/3に軽減されます。
項目 | 計算式 |
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固定資産税 | 課税標準額×税率1.4%×特例措置1/6 |
都市計画税 | 課税標準額×最大税率0.3%×特例措置1/3 ※税率は地域によって異なります |
特定空き家となった場合、通常の住宅が受けられる固定資産税・都市計画税の特例措置(優遇)の対象外となります。 言い換えると、特例措置の対象外となった場合、現状発生している固定資産税が6倍になる可能性があります。 自分が住んでいるわけではない空き家に対して税金を払うだけでも負担なのに、それが高くなるとしたら、なおさらですよね。
しかし、空き家対策に法律ができるぐらい社会問題化している空き家、減らしていきたい、というのが自治体の意向です。 実際、京都市では非居住住宅利活用促進税制(通称:空き家税)を制定し、2026年からは空き家に対する課税を始めようとしています。
おさらいしましょう、
所有しているだけでリスクしかなく、売却や賃貸もできず、そのうえ税金まで負わされる、負担しかない不動産を「負動産」と呼ぶケースもあります。 こういった問題に対し、最適な対策が講じるには、餅は餅屋、不動産会社に相談するのがお勧めです。