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空き家の入手経緯の半分以上が「相続」と言われています。 相続人が遠方で生活基盤を作っていると、なかなか実家に戻ってやりなおすということにはなりません。 対象の物件が、アパートにして賃貸収入を得たり、売却して資金化できたりするような地域であればいいのですが、 必ずしもそうではありません。 対策を考えるためにも、まずはどういう物件なのかを見に行く必要があります。
古家に入る時は、漏電・ガス漏れに注意が必要です。 1年以上の居住がない家の場合はブレーカーを入れることで埃等に火花が引火して火災になるケースもあるので、 対応できるようにしておく必要があります。 不安であれば日中に懐中電灯を持っての訪問が良いでしょう。 水回りも同様です。特にマンションの場合、水回りで腐食が発生していると、 階下の住戸に漏水の被害を与える可能性があります。
空き家のリスクについて一覧化し、それぞれの対策を考えましょう。
空き家のリスク | 内容 |
---|---|
窃盗・放火 | 資産の喪失 |
不法侵入・居住 | 浮浪者や家出者などが侵入し住みつく |
防災 | 老朽化による悪臭・腐敗・動物の生息、台風等での倒壊 |
窃盗や不法侵入の防止のためにはホームセキュリティをかけるのが一番有効です。 しかし、それでも窃盗の被害を完全に防げるとは限りません。 本当に「空っぽの家」ならいいのですが、相続物件では全ての物品を回収できていない場合が多いようです。 価値の有無に限らず窃盗や損壊の際の対策や、資産価値としての把握のために、 在るモノは写真等の記録を残しておくことをお勧めします。
老朽化は定期的に見に行かなければ防げませんが、交通費や日程的な負担が発生します。 そのため、地元の不動産会社との連携があるに越したことはありません。 また、最終的に売却、リフォーム、賃貸等の方向性が決まるまえであっても、 地元に強い不動産会社には顔を見せておくことをお勧めします。
不動産会社との協議内容 | 詳細 |
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物件の状況確認 | 3ヶ月~半年に1回、建物の老朽度合いや損害がないかといった状況点検の巡回をしてもらえるかどうか。 老朽化や破損、庭木の整理などが必要になった場合に業者を紹介してもらえるかどうか。 |
周辺状況の評価 | 売却や賃貸に適した場所かどうか。 周辺の不動産相場はどうか。 周辺の空き家事情や活用事例の情報があるか。 |
自治体の方針 | 空き家対策や、空き家の有効活用に自治体(都道府県・市区町村)が前向きかどうか(補助金などがあるか)。 周辺の開発計画があるかどうか。 |
空き家を放置して「特定空き家」に認定された場合は、税金の特例措置が外れて費用負担が増える、という話をしました。 では、メンテナンスをしようとしたらどれぐらいかかるのでしょうか。 まず項目から整理してみましょう。
税金については前回の記事をご参照ください。 なお、建屋を解体して更地にした場合でも(住宅ではなくなるから)特例措置の対象外となります。 土地の広さ(200㎡≒60坪以上)や都市計画区域により異なります。 他の維持費とも合算してメリット・デメリットを判断してください。
空き家とはいえ、水道光熱費は発生します。 契約を切ってもいいようにも思いますが、そのほかのメンテナンスをすることを考えるとお勧めしません。 もちろん、契約プランとしては最低のものでいいです。
・火災保険
火災保険は、火災だけではなく風災・水害といった自然災害、ガス漏れや落雷などによる損害も補償されるので、 加入しておく必要があります。 補償内容に盗難や器物破損といった故意の被害が含まれるものもありますが、その場合は空き家を対象外とするものもあります。 契約内容をよく確認して加入してください。
・ホームセキュリティ/老朽化・防災点検・換気・清掃等の管理費
ホームセキュリティをかける場合、マンションなら相場が決まっていますが、 戸建てには個別に見積もりをとる必要があります。 戸建てのセキュリティは窓やドアの数によって金額が変わるためです。 警備会社に相談する際は必ず建築図面を用意してください。
ホームセキュリティをかけると警備会社の定期的な巡回点検を受けることができますが、 換気や清掃は別に清掃会社等と契約する必要があります。 そのため、建物内の老朽点検は不動産会社に依頼するケースがあります。 例えば戸建てで庭木がある場合は落ち葉が排水溝に溜まって腐ると、周辺の住民の方々の排水にも影響します。 あるいは枝が広がり隣家や行動にはみ出すリスクもあります。 マンションであっても同様です。 定期的な換気や水回り点検は欠かせません。 ベランダには外部から飛んでくるものが落ちるケースもあります。 戸建ての庭やマンションの1階のベランダはゴミを不法投棄される可能性もあります。
戸建て物件で、評価額が土地1,500万円、建物500万円、建坪60坪(200㎡未満)とすると以下のような計算になります。
項目 | 計算式 | 費用(万円/年) |
---|---|---|
固定資産税 | 建物500万円×1.4% 土地1,500万円×1.4%×1/6 | 10.5 |
都市計画税 | 建物500万円×0.3% 土地1,500万円×0.3%×1/3 | 3 |
水道光熱費 | 2,500円×12ヶ月 | 3 |
火災保険 | 概算 | 5 |
ホームセキュリティ | 概算 | 15~25 |
見回り・修繕手配 | 概算 | 10~20 |
庭木選定・ゴミ処理 | 概算 | 10~30 |
合計 | 56.5~96.5 |
不動産の評価額や管理会社の委託費、物件による修繕コストにだいぶ差がありますが、 年間で50万~100万程度の負担と考えておく必要があるでしょう。